2020年8月21日
(第10回執行委員会)
連合大阪 会長 田中 宏和
※8月の執行委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大のため持ち回り開催とした。
執行委員会に参画されている皆様、それぞれの取り組み、本当にお疲れ様です。
今回の執行委員会につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大が続いていることから、持ち回りの開催となりました。ご不便をおかけしますが、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
さて、コロナ感染症の世界的流行は、依然として先の見通せない状況が続いており、経済への影響も一層深刻になっています。今年4〜6月期の主要国のGDPは、前年同月比で約1割の縮小となり、リーマンショック時の約3.5倍の落ち込みとなりました。ワクチンや治療薬の開発に向けた動きもありますが、まだ先行きは不透明です。また、感染症対策で連帯しなければならないはずの国際社会は、激化する米中の覇権争いをはじめ、分断が深まっているようにみえます。
日本でも感染が広がっており、専門家などからは「第二波」に突入しているとの見方も示されています。経済への影響も顕在化してきており、4〜6月期の実質GDP速報値は、前期比マイナス27.8%(年率)と戦後最大の下落幅となりました。今後、一定の反動増は見込まれますが、V字回復には至らず、感染拡大前の水準に戻るには相当の期間が必要との見方が強まっています。
雇用については、総務省が先月31日に発表した失業率は、2.8%と前月比では改善していますが、この背景には、職探しをする人が5万人減ったことの影響が大きいと見られています。コロナ関連の解雇・雇い止めも増え続けており、すでに45,650人(8月14日時点)となっています。休業者の水準も依然として高く、経済の復調が遅れれば、休業者の多くが失業者に転換するおそれもあります。
こうしたコロナ禍の下での、2020春闘は、交渉環境もまだら模様となったものの、中小や有期・短時間・契約等の労働者の賃上げが健闘を見せ、格差是正の動きを前進させるものとなりました。一方で、春闘とも関係する最賃につきましては、中央最賃審議会では、労使の合意水準に至らず、事実上の据え置きとなりました。大阪でも、昨日20日に最低賃金専門部会で、審議結果報告および改正決定にかかる採決が行われ、「現行通り」で結審しました。最低賃金は、地域の労働者の生活と賃金、地域産業の持続性を支える上でも重要な役割を果たしています。私たちは、今後とも、経済・社会情勢をしっかりと注視しつつ、最低賃金引上げに向けた行動を起こしていくとともに、現在審議中の「特定最賃」の引き上げに全力をつくすべく、構成組織と連携を密にして取り組んで行きます。
この間、真摯な審議を行っていただいた労働側委員のご奮闘に心から感謝申し上げます。
感染拡大で高まる国民の不安を払しょくし、日本経済、社会を立て直すためには、的確な政策の打ち出しがかかせません。また、足元の感染対策と経済対策に力を尽くすとともに、中長期の視野をもって「after/withコロナ」の社会像を示すことが求められています。
しかし、政府のちぐはぐな対応は、混乱に拍車をかけるばかりか、野党による臨時国会の開会要求も拒否し、国民に対する説明責任も果たせていません。一方で、野党勢力は、この間の協議を経て、「大きな塊」への道筋が示されました。
政策と理念を共有しうる勢力として力強く結集し、二大政党的政治体制の確立につなげていかなければなりません。
一方、大阪市廃止・分割構想については、今月18日以降の臨時議会を経て、府会が28日、市会は来月3日に議決される見通しで、大阪市長や府知事は、住民投票を11月1日に実施する意向を示しています。ただ、大阪では重症者の方々が増加しており、政治には、感染対策を着実に進めることが求められます。住民投票に向けた説明も不十分であり、「after/withコロナ」の社会像も示さないまま、都市制度の変更を問うことは、無責任と断じざるを得ません。
最後になりますが、今年は戦後75年目となります。戦争は多くの悲劇を生み、原爆による被害に今もなお苦しむ方々がおられます。コロナ禍が世界を覆う中、分断ではなく連帯に向けて行動しなくてはなりません。そして、戦争の悲惨さと恐怖を忘れず、私たちが享受してきた平和を守り次世代につないでいくためにも、引き続き平和運動の推進を連合組織全体で誓い合い挨拶とします。