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感染症影響下の経済、政治、2020春闘

2020年3月19日 (第5回執行委員会)
連合大阪 会長 田中 宏和

※3月の執行委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため持ち回り開催とした。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、連合大阪も大阪府や連合本部の方針を踏まえ、これまで対応してきました。その中で、今日の三役会も、本来3月6日に予定していましたが、本日に延期とさせていただきました。またこの後、執行委員会の開催も予定していましたが、持ち回りとさせていただいたことから、三役会の開催についても悩んだところでありますが、春闘の後半戦に向けた取り組みやメーデーなど、重要な取り組みが控えていることもあり、本日、皆さんに様々な観点からご意見をいただきたく、開催することとしました。ご理解の程、よろしくお願いします。

 冒頭、新型コロナウイルスをめぐる状況・課題を中心に挨拶させていただきます。
新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミックの状況となり、世界各地、国内の社会・経済に大な影響を及ぼしています。

 世界経済への影響としては、世界的な消費の減退が深刻化しています。世界のGDPのうち、個人消費が占める割合は6割、約50兆ドルと言われており、消費の収縮は経済の衰退につながることが強く懸念されています。

 アメリカは、このような状況を鑑みながら、国家非常事態を宣言し、総額1兆ドルの経済対策にも言及しましたが、株安は止まっていません。アメリカは個人投資家が多く、株安が国内消費に強く影響するため、経済的な損失は相当に大きくなることが見通されます。このことが、日本の年金資金の運用にも影響を及ぼすことからも、注視する必要があると考えています。

 一方、日本経済も深刻な事態に直面しています。一時的な消費の減退はすでに避けられない状況で、これが企業の破綻や失業に繋がれば、さらに事態は深刻になっていく事が予想されます。民間エコノミストの予測では、今年1〜3月期のGDPは、前期比年率マイナス3%で、昨年10〜12月期に続き、2四半期連続のマイナスとなりました。現に、新入社員の内定取り消しという事態も出てきています。また、同一労働同一賃金がこの4月から施行されますが、新型コロナウイルス感染拡大にともなう休業が非正規を直撃しているとの報道もあります。連合として実施した労働相談でも、そのような声が入っており、企業の破綻を防ぎつつ、雇用への飛び火を防ぐ手立てを早急に打ちださなければならない状況からも、早急な政策対応が求められていると考えています。

 このような現状下で、日本政府の対応は、世論からは評価される声も多くあるものの、一斉休校の要請など、場当たり的な対応に思えてなりません。本日の専門家会議でも、感染拡大が続いている地域については、引き続き自粛が必要との見解が示されるのではないかと考えています。

 そんな中、4ヵ月後に迫ったオリンピック・パラリンピックについて、今日の新聞でも、選手の健康や生命を守って欲しいと、選手からの声も出ており、これらの動向は、経済への影響もさることながら、大阪・関西が中心となる来年のワールドマスターズゲームズや万博・IR誘致など、大阪の将来にも影響を及ぼすことになりかねないと懸念されています。

 こうした中での春闘ですが、大変厳しい状況となっています。連合本部による13日発表の第1回回答集計結果では、賃上げ率は平均1.91%で、前年の初回集計を0.25下回り、7年ぶりに2%を割り込みました。米中貿易摩擦による企業収益の減速や新型コロナウイルスで、経営者が賃上げに慎重になっているようですが、企業としては、環境変化に翻弄されず、賃金を伸ばしていく基礎づくりを進めていかなくてはならないと考えます。

 賃金増で、消費を伸ばし、それが企業活動を活発化させるという好循環をつくりだす、いわゆる「正のスパイラル」による経済成長が重要です。今後、中小企業の回答が本格化する中で、本日も、第2回回答集計結果が出ますが、現時点の集計では、中小の回答は、定昇込みで2%を上回り、ベアも昨年並みと大手を上回る傾向だと聞いています。賃上げの流れをさらに強めること、そして、持続可能な社会に向けて運動を進めてまいりたいと考えていますので、ご理解・ご協力をお願いします。