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新型コロナウイルスの影響の広がり

2020年2月21日 (第4回執行委員会)
連合大阪 会長 田中 宏和

 先ず、新型コロナウイルスについてですが、感染拡大が続いています。国内でも、昨日時点で感染者が700人を超えており、3人の方がお亡くなりになられたと聞いています。市中感染が疑われる事例もあり、今後、感染が拡大する可能性が大きいとも言われています。人命に関わることですから、一刻も早い収束を祈るばかりです。

 また今回の件は、春闘や経済にも大きな影響が懸念されています。国際経済としては、中国における「オプティカル・バレー」といわれる高速通信の設備機器の工場が集中する武漢、そして電子部品メーカーが集中する広東省など、電子産業の世界的なサプライチェーンの中核地域での感染拡大でもあり、中国経済の悪化だけでなく、製品の供給不足等、中国需要の減退につながるおそれが高いと見られています。

 一方国内でも、内閣府が17日に発表した2019年10-12月期のGDP(速報値)が前期比-1.6%、年率換算すると-6.3%となりました。リーマンショック翌年2009年のGDPが-5.4%であったことからも、深刻な水準であると見られています。要因については、消費増税に加え、台風や暖冬によるものと説明されており、新型コロナウイルスによる影響が反映されていません。1-3月期のGDPでは、新型コロナウイルスによる影響が予想されることからマイナス成長が濃厚だと見られており、今後の経済・社会への影響を注視する必要があると考えています。

 とりわけ大阪、関西経済は、日銀大阪支店が18日に発表した関西金融経済動向では、景気判断を4年3ヶ月ぶりに引き下げました。感染拡大の状況が長引けば、中小、零細を中心に、資金繰りにも影響を及ぼす可能性もあると指摘されています。

 このような状況下での2020春闘ですが、連合は、昨日の第3回中央闘争委員会で、経済の自律的成長、社会の持続可能性を実現する重要な取り組みであることを改めて確認しました。国内経済の展望は、一時的には新型コロナウイルスの影響を強く受ける恐れもありますが、外需の先行きが不透明な中で、内需拡大が重要である状況に変わりはありません。増大する社会保障、将来への不安を払しょくするためにも、分配構造の転換につながりうる賃上げが必要であるとの方針を貫くことが重要だと考えます。その上で、要求提出と3月末までの回答引き出しに向けた交渉配置、賃金の相場形成と社会的波及力の強化、社会対話の促進を進めていくことも併せて確認されました。

 次に政治についてです。通常国会が開会して1ヶ月が経過しました。今国会では、政府予算、税制改正、年金や介護など、働く者の暮らしに直結する重要法案が審議されることとなっています。連合としましては、9つの重点法案を示し、中でも、予算案、税制改革関連法案、年金制度等改正法案、労働基準法の一部を改正する法律案、雇用保険等改正法案の5本を最重点法案と位置づけ、連合フォーラム議員各位との認識共有を進めてきたところです。

 ただ、これまでの報道で知る限り、桜を見る会、カジノ汚職をめぐる野党追及に対して、首相のうそ、ごまかしともとれる答弁が相次いでいること、さらには政権主導による検事総長の人事含め、強権的な政治手法がさらに色濃くなっていると感じています。新型コロナウイルスの影響もあり、解散総選挙はオリンピック後との見方が強いですが、やはり常在戦場の構えは必要であり、連合の支援政党である、立憲民主党、国民民主党との連携強化から、次期衆院選を見据えた、例えば政権構想や政策などについて、しっかりと踏み込んだ議論が必要ではないかと考えています。

 一方、大阪では、住民投票に向けた動きが加速すると考えています。協定書案が4月から6月にまとめられ、9月頃には府市両議会での採決で決定する見通しです。維新は、前回の住民投票で否決された5月17日から街頭などでの行動を開始するという話もあり、春闘の取り組みと並行して、有識者懇談会、プラットフォームづくりなど、都構想対策の取り組みも進めていきたいと考えています。改めて、政治センター会議等での議論を踏まえて、執行委員会で提起させていただきますので、連合一体となる取り組みにつながるよう、ご意見をいただければと考えます。

 最後に、冒頭あいさつで触れた、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、連合大阪としての今後の対応について、経過報告ご確認後に、先議として取り扱わせていただきます。これまでご確認をいただいてきた、春闘を含めた重要な取り組みは多々ありますが、連合本部、さらには大阪府の議論も踏まえながら、やはり健康と安全を求める連合の社会的役割という立ち位置に立って、対応(案)を提起させていただきますので、皆さんのご理解をいただければと考えます。