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コラム「徒然なるままに」(2008年6月)

男女雇用平等月間に思う…

連合大阪 事務局長 脇本ちよみ

 私事で恐縮であるが、最近3人目の孫が誕生した。二人の娘がそれぞれ独立し、子どもを生み、そしてうれしいことに働き続けている。

 私が働き始めたのは1970年のことであり、「女性が働き続けること」が“当たり前”の時代ではなかった。産休はあったが短く、育児休業はなかったし保育所も学童保育も十分ではなかった時代であり、子育てしながら働き続けるにはいろんな面で苦労をした。しかし、なぜか「仕事を辞める」という選択肢は私の中にはなく、“どうしたら仕事が続けられるか?”ということを考えながら、がむしゃらに突き進んできたというのが実情である。

 結果、保育時間の延長、学童保育の開始や長期休暇中の学童保育実施なども含め、制度も拡充し整ってきた。また、その時に作っていった(というか、いや応なしに巻き込んだというか)地域の皆さんとのネットワークとは、その後の娘たちの成長の見守り隊として長くお付き合いさせていただいた。

 そして今、娘たちがそれらを利用し、お世話になり働き続けている。「運動の連続」のようなものが直接的に感じられるという意味でもうれしい一面である。

 先日、若い女性たちと、あるシンポジウムへの準備の中で“均等法”施行前の話になった。「女性の“結婚定年制”や“35歳定年制”が当たり前だった」というとみんなは「ぎぇー」とのけぞって驚き、私は“生きた化石”のように言われてしまった。しかし、ショックだったのは、第1子誕生後も働き続けている女性が、その当時と今とで、ほとんど変わらぬ数の資料を見たときだ。結婚後辞める人は大幅に減った。しかし、やはり、“出産・子育て”はまだまだ「働き続ける」ための大きな壁になっていることをあらためて感じ、20年を経てなお…という思いにがく然とした。

 社会的には法律もシステムもずいぶん整備され進んできたと思うのだが、何が問題なんだろうかと考えこんだ。一つは主体の問題であり、女性の側が「働き続けたい」と切り開くエネルギーがまず必要だろう。そして、二つ目は、それを受け入れる側の企業や家庭の意識や風土の変革が重要だろう。そして三つ目は「どんな社会をつくるか」ということをキーワードに、社会的政策が大きなパッケージとして変換されるべきだろうと思う。

 私は「持続可能な社会」のためにも、女性の労働力は必須条件であると思っている。また、「働き続けたい」と願える“仕事のありかた”も今求められている。国際的な調査では、女性の労働力率が高い国ほど出生率が高く、男性の家事・育児への参画率が高い国ほど出生率が高い結果が出ている。

 6月は男女雇用平等月間である。募集した標語の最優秀賞になった「子育ても、介護も、仕事も、シェアリング」(乾清之さんの作品)の意味を、職場や家庭や子どもたちと語り合う機会を持ってもらえれば…と願っている。