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日本の女性参画の現状と課題

2014年10月16日(第12回執行委員会)

連合大阪 会長 山﨑 弦一

 先週末あたりから、大阪府域の連合大阪推薦の首長さんとの懇談会を実施していまして、とくに地域の皆さんには、日程調整などお世話になっています。首長さんとお話をしてみると、それぞれの「人となり」が伝わり、私としては楽しみながら懇談をさせていただいています。いろんなお話を伺いながら、今後の運動に生かしていければと思っていますので、ご報告しておきます。

 その関係で岬町に伺った帰り、南海電車に乗っていますと、隣に作業服姿のかたがお二人座っておられました。このお二人の会話を、聞くとはなく聞いておりますと、内容は多岐にわたるのですが、ひょんなことから「大阪都構想」のことになりました。若手の方が先輩格の方に「大阪都構想」について、「橋下さんはいろんなところで暴言を吐いて、けしからんという意見もあるがどうでしょうか」と問いますと、先輩格の方は、一言で「都構想というのは、既得権益をつぶすことだからいいのだ」と言われまして、「そんな簡単なことじゃないのに」と感じました。分かりやすいといえば、分かりやすいのかも知れませんが、そうじゃないということを、私たちも意識をして丁寧に説明しなければならないと改めて感じたところです。

 ここ一週間ほどの間に、日本人3人が「ノーベル賞」を受賞したことが話題になっています。赤崎さん、天野さん、中村さんの3人ですが、私の昔の仕事と近いところにありますので、なんとなくその辺の空気感は分かるのですが、今日あたりの週刊誌に出ているのですが、赤崎、天野グループと中村さんは、犬猿の仲でほとんど話をしないのではと思います。赤崎さんは、すでに80歳を超えておられて、テレビを見ていても好々爺といいますか、いいお顔をしておられます。中村さんという方は、あまり友達がいない人だそうです。中村さんは、日亜化学工業という会社を相手取って、巨額の特許に対する賠償を求めて訴訟をしたことを覚えておられるかも知れません。このときに社会問題になっていました。SDカードのフラッシュメモリーの技術は東芝の技術者が開発したものですが、この特許についても中村さんに誘発されて、訴訟を起こしたということがありました。日亜化学工業は徳島にありますが、おそらくまだ組織化できていないのではと思います。

 いま、国では知財関係の法改正の動きがありまして、現行法では、会社のなかで特許を書きますと、まずは特許を書いた人のものになり、それを会社に譲渡して会社が使うということです。これを初めから会社のものにしてしまおうというのが、法改正の案になっています。どちらにすればいいのかよく分かりませんが、そういう議論をしているときに、中村さんがノーベル賞を受賞したことで、いろいろと議論がでてくるのではと思いますので注目したいと思います。特許の課題は、ある意味で組合員の権利にも関わることですから注目をしてください。

 最後に、壁新聞で報告していますが、10月8日に大阪労使会議を開催しまして、女性の活躍推進に向けて議論しました。雇用機会均等法ができて30年近く経過しており、安倍さんが女性活躍促進としていろんなことをいっておられますが、2003年に「2020年までには指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%以上にする」という目標が掲げられていました。結果としてもうすぐ2020年ですが、昨年の6月時点で企業における女性管理職の割合は7.5%ですし、中央省庁では昨年の10月で3%という惨憺たる状況になっています。

 もともと雇用機会均等法をつくった時は、男女共同参画、性差別をなくすという運動からスタートしています。安倍さんの「女性参画」というのは経済的側面のことで、少子化していく中で、女性の労働力がないと経済の活力が落ちていくので、という側面が強いのではと思っています。安倍さんは、一方で日本的な家庭像を考えておられて、介護、子育ては女性がしなければいけないといわれていて、女性活躍促進と日本的な家庭像は矛盾するのではと思っています。民間企業では、女性の登用についていろんな努力をしてきたことも事実ですし、いろんな制度を作ってきたことも事実です。それでも数字が上がらないというのは、おそらく今までやってきたことは、どちらかというと、問題対処といいますか、そうした仕組みを作ることに比重が置かれていて、女性が本当に、社会に進出して性差別をなくして、男女共同参画社会をつくるという根本的な問題解決に至っていないということではと思っています。しからばこの問題の解決はどうすればいいのかというのは、非常に難しい問題になるのではないでしょうか。

 これまでの男性を含めての働き方や、日本社会に一般的に通用している概念のようなものを変えていかないと、そうした社会の実現に向かっては遠いのかと思うところです。連合の次年度の運動の中で、女性の活躍促進に向けてのモデル地区として連合大阪は手を挙げていますので、一生懸命この問題について取り組んでまいりたいと思います。