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中国の労働者派遣に関する法整備

2014年9月25日(第11回執行委員会)

連合大阪 会長 山﨑 弦一

 先週の9月15日から19日の日程で上海市に出張しました。出張の目的は、アジアローカルセンター会議に出席することでした。本来ですと、この会議は5年に一度の開催で、連合大阪、韓国労総釜山地域本部、上海市総工会、台北市総工会、ホーチミン市労働総同盟の5カ国で開催する会議です。しかし、台北市総工会は別の重要な会議と重なっているということで欠席、ホーチミン市労働総同盟の欠席の理由はよく分かりませんが、おそらくは両国間の問題があり欠席されたのではないかと思います。結果として3カ国の会議となりました。

 このアジアローカルセンター会議の次の開催は、5年後に大阪での開催になろうかと思います。会議の主題は、非正規労働者の問題についてということです。先般、イタリア労働総同盟の皆さんが大阪にお越しになった時の主題も同じく「非正規労働」の問題でした。世界的に大きな課題になっているということではと思います。

 上海の今の状況を聞いてきましたので、紹介してあいさつに代えたいと思います。

 上海市総工会の組合員数は、連合全体の組合員数を超えて約900万人です。2013年4月時点の上海では、労務派遣会社の数はトータルで1000社以上、派遣労働者の総数は170万名、派遣先企業のベスト3は、外資投資企業、国有および国有持ち株企業、私営企業となっています。

 中国では、2007年6月に初めて労働契約法が作られまして、法律の制定は後発組だと思います。その後、幾度か法律改正が行われ、直近の2014年3月1日に実施された労務派遣暫時施行規定によると、派遣について定義がされており、派遣先は臨時的、扶助的あるいは代替的な務め口で派遣労働者を採用できるとされています。この臨時的務め口とは、存続期間が6ヵ月以内のものをいう、扶助的務め口とは基幹業務のためにサービスを提供する周辺的仕事、代替的務め口とは派遣先の労働者が休職学習・休暇などの原因で勤務できない一定の期間内に他の労働者が代わりに勤務するものと定義されています。

 さらに法律には、「派遣先が派遣労働者を扶助的務め口に採用すると決定する前に、まず従業員代表大会あるいは全体従業員の討論を通して意見を提起すべきであり、また、労働組合あるいは従業員代表と平等協商(協議)を通して確定すべきであり、それを会社内で公に開示すべきである」。つまり、派遣先の労働組合の確認を得ないと派遣労働者を採用できないということです。

 さらに「派遣先は派遣労働者の人数を全体従業員の10%以内に厳格に抑えるべきである。すでに10%を超えているところは、2年以内に10%にすること」と規定されています。ただし「移行に当たっては、規模的リストラになってはいけない、社会の安定を脅かしてはいけない」という3点が法律に規定されています。この議論のときに上海市総工会の方から発言があり、日本でいえば郵政事業の方だと思いますが、この職場では派遣労働者が50%を超えていて、なんとか2年以内に法律の規定通りにしたいと決意表明されていました。

 さらに法律には、「労働組合は、派遣労働者の権益保護ということに対して、まずは派遣労働者を組織化しなければいけないこと、さらに団体交渉の中にこのテーマを入れ込まなければいけない」ということが整備されているということで、よほど日本より進んでいると思いました。労働法制の整備という側面では見習うことが多く、私たちもしっかり運動を継続しなければならないと思いました。