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社会の不条理に対峙する運動の展開を

2014年7月18日

連合大阪 会長 山﨑 弦一

 滋賀県知事選挙で三日月さんが勝利を収めることができました。あらためてご支援いただきました皆様に感謝を申し上げます。選挙前後の安倍政権の動きが、自民党候補のブレーキになったことは間違いないと思います。この知事選挙の勝利を次の選挙につなげていかなければいけないと思いますので、引き続き皆様のご支援をよろしくお願いします。

 さる7月13日に民主党大阪府連の大会が開催されました。その時に私が応援団としてあいさつしました内容を紹介してあいさつに代えます。

 ある経営者の言葉に「経営とは、どんな立派な戦略をたてても、強い現場がなければ絵に描いた餅に終わる」というものがあります。これは、何を意味するかというと、やはり働いている人が大事だということです。人間第一でなければいけない、人材を育成していかなければいけないということだと思います。

 先般アベノミクスの成長戦略が発表されています。どうもこの成長戦略は、強い現場というか、人を大切にするというか、人を育てていくのだという発想がありません。要するにこの成長戦略は、投資家目線で株価が上がればいいという類の戦略ではないかと思っています。その意味では、まさに絵に描いた餅に終わる可能性が強いということではないかと思います。

 フランス人経済学者トマ・ピケティ氏が書いた「21世紀の資本論(Capital in the Twenty-First Century)」が、世界で売れに売れまくっています。日本語訳がまだないので、本の解説を読んだのですが、要点の第1は「所得と富の歴史的分析」、第2は「所得と富の不平等が21世紀に拡大していくという予測」、第3は「拡大する不平等をくいとめるための政策提言」となっています。小樽商科大学の澁谷教授が書いたこの本の解説・論評記事が面白かったので紹介します。

 澁谷教授によると、「人間本性は進化の結果である。実は、人間は公正、正義、平等ということをとても気にする動物として進化してきた。その理由は、自然界における生存競争の中で人間が生き残るためには、お互いに協力することが不可欠な生存手段であることを学んだからである。その結果、人間は協力を通じて行動する社会的動物として進化してきたのである。したがって極端な不平等を見た時、人間は本能的に不公正・不正義の感覚を持つようになる。とくに不平等の原因が、政治を通じた特殊な利益の追求(rent-seeking)結果であればなおさらである。人間は社会性(協力)という本性を身に付けることによって生き残り、文明を築いてきたのである。しかし、大きな不平等にともなう不公正・不正義の感情によって集団、会社、組織、社会における協力は簡単に壊れる。そして、協力の崩壊は経済的停滞、さらには不親切社会さらには敵対的社会をもたらす。一体誰が、そのような経済社会に住みたいと思うのだろうか」と書いておられる。

 私もまさにその通りと思っています。いま、国政においては右傾化が進んでいますし、新自由主義的な考え方が復活してきている。大阪では、反対意見に全く耳を傾けようとしない民主主義の破壊が進みつつあるということで、生活者の視点から施策を考え行動していく民主党の役割と責任は極めて大きいと申し上げてきました。私たち労働組合も、これに対する役割と責任は大きいのではと思っています。引き続き、社会の不条理に対峙する運動を展開しなければならないと思っています。