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アフターコロナの地域社会での運動を考える

2020年7月17日 (第9回執行委員会)
連合大阪 会長 田中 宏和

 皆さんこんにちは。本日は、何かとお忙しい中、執行委員会にご出席いただきありがとうございます。

 こうしてみなさまにお集まりいただくのも、約5か月ぶりとなります。ただ、新型コロナウイルス感染症が再び拡大傾向にある中、効率的な議事運営につとめてまいりますので、ご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭になりますが、このたびの九州熊本を中心とした豪雨災害、各地でも甚大な被害が発生しています。亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災されたすべての方に心からお見舞い申し上げます。

コロナをめぐる情勢(社会・経済・雇用)

 さて、コロナをめぐる情勢ですが、世界、そして日本で感染拡大がとまりません。一時は落ち着きつつあった日本ですが、昨日の感染者数が全国で622人、本日の報道では、東京の感染者数は昨日と同等と言われており、ピーク時に迫る勢いとなっています。更にコロナ禍の影響は多方面に及び、冒頭にも申し上げた豪雨被害では、かねてから懸念していた複合災害に発展しました。このことにより、被災地支援におけるボランティアや民間支援も滞っているとのことです。新たな観点で防災対策を練り直すことが求められています。

 そして、コロナ禍の経済への影響もいっそう深刻になっています。国内では、インバウンドの蒸発、生産の低迷が続き、設備投資や雇用を抑える動きが広がっています。今月1日の日銀短観では、大手製造業の景況感は-34、同じく9日発表の地域経済報告でも、4月に引き続き、すべての地域で景気判断が引き下げられました。さらに、コロナ関連の解雇・雇い止めも、加速しています。7月10日時点で、35,001人にのぼり、約1週間で2,600人増加しています。ただ、この数字も労働局などが把握できた人数に限られており、実数としてはさらに多いのではないかという見方もあります。企業の倒産も6月は780件と今年最多の水準となっており、今後はさらに加速するとの見通しも示されています。

 一方、乱高下した株価は、一定の水準で安定しつつありますが、実体経済を反映したものではなく、GPIFなどによる買い支えが、その背景にあると見られています。そのGPIFの2019年度の実績は約8兆円の赤字、今年1〜3月期に限れば約17.7兆円の赤字です。年金積立金の原資は、働く者が賃金から拠出した保険料であり、将来の年金給付の財源となるものです。安全かつ適正な運用を堅持し、国民の不安を払しょくすることが求められています。

 この間、コロナ対策として実施した大阪府の休業要請支援金の状況(7/9現在)について、報告します。先ず、休業要請支援金(6/20締め切り)は、申請が55,000件に対して、支給が43,000件(78%)、額として259億円となっています。一方で、休業要請外支援金(7/14締め切り)は、申請が92,000件に対して、支給が24,000件(25%)、額として92億円にとどまっています。

春闘

 こうした情勢下での春闘ですが、昨日の中執で「春闘まとめ(案)」が確認されました。今なお、1割強の組合が懸命に交渉を展開されていますが、コロナ禍の下で、交渉環境もまだら模様となる中、中小や有期・短時間・契約等労働者の賃上げが健闘したことが大きな特徴だと受け止めています。

 また、働き方の見直しという点においても、長時間労働是正や同一労働同一賃金に関する法改正への対応が推進したこと、そして、コロナの影響も大きいと思われますが、テレワークの導入などに前進がみられました。一方で、前例のない今春闘での取り組みを総括し、次年度以降に向けては、従来の形にとらわれない意志結集の場や世論喚起のあり方について検討を深めていく必要があると考えています。

政治

 政治動向ですが、今年中にも解散総選挙が実施されるのではとの報道が強まっています。現政権のコロナ対応は、遅く、ずさんであるだけではなく、透明性も確保されていません。また、Gotoキャンペーンなど、ちぐはぐな対応は国民の不安を払しょくさせるどころか増幅させています。

 このような中、次期衆院選はコロナ禍による国家的危機を克服し、安心で持続可能な社会を展望できる将来ビジョンを描くことが重要な争点となると考えています。

 いま、連合本部台でも、ポストコロナの新社会像について、立憲民主党、国民民主党、両党との理念共有を図るとともに、選挙戦の基本方針についても協議を重ねているところです。

 一方で、大阪では、維新勢力が今秋の住民投票を強行しようとする動きを強めています。「コロナの状況次第」と注釈こそつけていますが、解散総選挙が実施されれば、併せての住民投票は避けられないかも知れません。連合大阪としましても、動向を注視していきます。

今後の地域社会

 あと、一点、今後の地域社会について思うことを触れ、挨拶に代えたいと思います。
東京知事選挙戦の中でも、かねてからの課題である東京一極集中が話題になりました。この背景には、コロナによるテレワークの推進が、働き方改革のみでなく暮らし方改革に波及する。強いては、都市集中から地域への分散にという考えがあるのだと思われます。

 ただ、その一方で、人口減少社会の現実として、自治体のコロナ対応でも見られるように、財源の乏しい地方は、十分な住民サービスを行えないという問題もあります。また、九州豪雨の対応の中では、「災害多発地域にはそもそも住まないようにすべきでは」というような意見まで聞かれました。都市への集中か、地方への分散かという二者択一の問題ではありませんが、私たちがつながり、支えていく地域社会のあり方は、コロナを経て大きく変化していく可能性があるように思えてなりません。これらは、私たちの今後の運動にもかかわる課題でもあり、さらに高い関心を持って注視していく必要があると認識しています。

 最後になりますが、本日の執行委員会で、第26回地方委員会にかかわる件を提起し、協議させていただきますが、冒頭にも申したとおり、コロナによる今後の対応次第では、地方委員会のみならず、その他活動についても、急遽変更を余儀なくされる可能性があります。

 どうか、皆さまの方のご理解をお願い申し上げ挨拶とします。