pagetop

コラム「あんな相談こんな事例」(2) 2005年10月

業務委託で義務逃れ
不条理に満ちた労働環境

連合大阪なんでも相談センター 相談員 飯塚 健二

☆ ☆ ☆

 5月中旬、4人の20代の女性が相談にやってきた。A市にあるパチンコ店で、突然、解雇を通告されたという。

 2人は店に直接雇用されたアルバイト(勤続3年と1年6カ月)、他の2人は派遣会社から店に派遣された派遣社員である。解雇の理由を文書で出すよう管理職に要求したが、会社が決定したことだの一点張りで相手にしてもらえなかった。店長との折り合いが悪いということが、解雇の主な理由では……とのこと。

★子会社を作って雇用、社会保険を逃れる派遣会社

人材派遣の文字 勤務は、早出、遅出の2交代制。時給は1250円から1350円。残業代は付く。お客さんとのトラブル対策か、損害保険を掛けさせられる。しかし、雇用保険、社会保険は加入していない。

 即、組合に加入してもらい、パチンコ店、派遣会社に解雇撤回の要求書と団体交渉を申し入れた。数回の交渉を行なう中で、解雇予告手当相当分、雇用保険給付金分を補償することで解決することとなったが、この交渉を通じて、特に派遣会社が業務委託の子会社を作り、人の募集は派遣会社の名で行ない、実際は業務委託の社員にして、雇用保険、社会保険の加入を逃れるという措置が見えてきた。派遣社員は、雇用、社会保険に加入が義務付けられているからと言う。

★不条理に立ち向かった若者たち

 手取りの金が多いからだけで就職を決める。今の若い人たちの就職活動を取りまく環境の氷山の一角を見た。勇気を出して、不条理に対して立ち向かってくれたからこそ、少しの手伝いができた。今回の経験を生かし、キャリアアップして早く就職してと話をして別れた。彼女らの明るい笑顔に力をもらった。