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共に考え、議論し、行動を起こしていこう

2014年1月17日

連合大阪 会長 山﨑 弦一

連合大阪 会長 山﨑 弦一

 新年、明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、すがすがしい新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。旧年中は、連合大阪、大阪労福協の運動、活動に、深いご理解とご支援をいただきましたことに、心から感謝申し上げます。今年も、ご指導、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 年頭にあたり、連合大阪の運動について、皆さんと共にしっかり前へ進めていきたい重要なポイント、3点について申し上げたいと存じます。

 一点目は官民を問わず、使用者側を動かすということです。

 喫緊の取り組みとしては、2014春季生活闘争が始まります。政府は昨年12月の月例経済報告で、4年2カ月ぶりに「デフレ」の文言を削除しましたが、厚生労働省の調査では、実質賃金指数は、3月のピークを2.5%下回っています。

 一時金や残業代は増えても所定内給与が伸びず、物価の上昇で賃金が実質的に目減りしている状態であり、労働組合としては、官民を問わず、何としても賃上げを勝ち取らなければなりません。これは政府の口先介入の仕事ではなく、正に我々の仕事であります。構成組織の交渉団のご奮闘をお願いしておきたいと存じます。

 加えて、今次春闘においては、デフレ脱却に向けて、正規、非正規、組織、未組織を問わず賃上げを実現していくことが必須であり、連合大阪としても、非正規共闘会議の設置などを通して、最大限の努力を傾注していきたいと考えておりますので、皆さんのご支援をお願いいたします。

 また、経営者の皆さんも、アベノミクスに頼るだけではなく、新規事業へのチャレンジ、そして雇用の維持拡大に向けた健全な行動を、もっと積極的に起こすべきだと考えております。しかし、残念ながら、アベノミクスの進展とともに、新自由主義的発想の経営者が台頭しつつあり、不当労働行為を平気で行うブラック企業も後を絶たないのが現状です。

 私が尊敬する経営者、松下幸之助さんが御存命なら何とおっしゃるだろうか? と考えるわけですが、松下幸之助さんは、労使関係は、「対立と調和」が基本だと言われていました。対立あるところにものが生まれる。しかし、対立しっぱなしでは生まれたものも消えてしまう。そこに調和があって、はじめて育ってゆく。対立し調和し、調和し対立してゆくところにものが生まれ、ぐんぐん育ってゆく。言いかえると、『対立と調和』は、健全なる労使関係の源泉である」と説いておられました。

 今こそ、官民を問わず、そのような健全な労使関係を再構築し、使用者側を動かすべく行動を起こしていかなければなりません。

 二点目は、「社会を動かす」ということです。

 私たち連合は、働くことを軸とする安心社会の実現を目指しています。少子高齢化が急速に進む社会の中で、これまでの社会システムの再構築は避けて通れません。このことは、実は、20年以上も前から予見されていたことですが、かつての自民党政権は何もしてこなかったことを忘れてはなりません。

 一昨年、安倍政権が誕生し、アベノミクスで何となく明るい雰囲気が漂っていますが、新年度の予算案をみても、対処療法的なものが多く、税と社会保障の一体改革などの本質的な問題には手が打てていないのではないでしょうか。

 そして、私が何よりも危惧するのは、そこに「人」に対する眼差しが感じられないことです。アベノミクスという政策の成功のためにやっておられるような印象を受けますし、そこに生活者への眼差しが感じられないのです。

 端的な例が労働法制の規制緩和であります。「賃上げ」について、一生懸命、経営側に要請をしていただいておりますが、一方では、成長戦略の障害だとして労働法制の規制緩和が検討されています。

 労働法というのは、これまでの歴史の中で、経営者の行き過ぎた行為に対して、それを規制するために作られた法律の集大成です。そうした歴史を積み重ねて出来上がった労働法に対して、それが労働力の移動を妨げ、経済成長を妨げていると主張するのは、自らの責任を回避するすり替えの議論にほかなりません。

 このような不条理に対して、われわれは、しっかり声をあげて社会に訴え、それを正す行動を起こしていかなければなりません。

 また、大阪では、都構想の是非についての判断が正念場を迎えます。法定協議会の議論も進みつつありますが、連合大阪としてもプロジェクトを立ち上げ、様々な観点からこれを検証し、広く社会に意見提起していきたいと考えております。

 皆さんとともに、社会の不条理はもちろんのこと、あるべき社会像についても組合員、国民に訴え社会を動かしていく運動・活動を進めていきたいと考えております。

 三点目は、そのような行動を起こしていくための組織強化であります。

 1000万連合を目指す運動を、大阪でもしっかり推進しなければなりません。そもそも労働組合とは、一人では使用者側とは太刀打ちできないから、組織化が始まったのであります。そして、これは憲法でも保障されているのです。

 正規、非正規問わず組織化を進めることが、1点目に申し上げた使用者側を動かすということ、2点目の社会を動かすということの原動力であり、また、新自由主義に対抗する極めて重要な方策となります。

 今、改めて、働く者がしっかりとした「絆」で結ばれ、団結を強めることが重要です。「絆」という字は、糸へんに半分と書きます。お互いに糸を出して結ぶという作業が必要なのです。手をさしのべ、手をしっかり握り、腕を組んでこそ絆ができ組織が強化されます。そのためには、コミュニケーションを深めなければなりません。

 また、コミュニケーションは、意味と感情のやり取りができて初めて成り立つとも言われています。安心してチャレンジできる社会を目指して、時には激論も交わしながらコミュニケーションを深め、共に行動を起こしていこうでありませんか。

 結びになりますが、今年の干支は甲午です。相場の世界では、「辰巳天井、午尻下がり」とも言われますし、「反対勢力の高まる年」だとも言われているようであります。しかし、これは時勢を言ったものであり、座して見ているだけでは、決してそうはなりません。まさに、私たちがいかに行動するかにかかっています。

 共に考え、議論し、行動を起こしていこう、ということを重ねて申し上げますとともに、本日、ご参会の皆様にとって、今年が実り多き年となりますことを祈念申し上げ、年頭にあたっての挨拶とさせていただきます。

 今年も、どうぞよろしくお願いいたします。