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経済再生に賃金デフレを放置させない

2013年1月25日(於:第15回執行委員会)

連合大阪 会長 川口 清一

 第15回執行委員会の開催にあたり、昨日の連合中央執行委員会の報告もあわせて挨拶にさせていただきます。

 本日の配布しております連合大阪としての第46回衆議院選挙のまとめのたたき台として審議いただきますが、昨日の中央執行委員会においても「衆議院選挙のまとめと参議院選挙に向けて」ということで、これまでの政治担当者会議、あるいは地方代表者会議、三役会や政治センター会議を踏まえてその内容が示されていますのでご一読願いたいと思います。全体的には、私たちがこれまで議論してきたことと、極めて歩調が合っている内容で集約されているのではないかと判断しています。

 次にアルジェリア人質事件についてですが、悲しいことでありますが今日の朝にアルジェリアから、亡くなられた9人のご遺体と7名の生存者が第一陣として日本に帰国されたというニュースを見ました。残るお一人は、明日ご遺体として帰国されるということで、結果的に10人の邦人が犠牲となるという大変痛ましい結果となりました。まさに痛恨の極みであり、関係者、ご家族の皆様方のお嘆きも大変大きなものがあるのではと思いますが、犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。私どもとしては、このような卑劣なテロ行為に対しては、つよい怒りを表明しなければならないと思います。

 二点目ですが、2013年春闘にかかる内容ですが、1月22日に示された経営者側の「経労委報告」に対する連合の見解も資料として配布しておりますので、お読み取りいただきたいと思います。これと同じ日に政府と日銀の共同声明という形で2%のインフレ目標を掲げて金融緩和など必要な施策を講じていくことが示されました。この政策の一つひとつの是非は別にして、日本のデフレ社会のなかで、低迷してきた経済から脱却していこうという強い政府方針が示されているときに、賃金デフレだけを放置することは許されないという思いで、2013春季生活闘争の交渉を進めていきたいということが、古賀会長の挨拶で触れられました。私はそのとおりと思いますが、デフレから脱却して雇用が確保され、賃金も上がって、企業収益も増えて、その結果として物価が上がるという好環境を作っていくことが極めて重要であり、こうした好循環を作るためにも、今年の賃金闘争の位置取りをしっかり踏まえなければならないと思います。

 1970年代半ばに、1年で20%も、あるいは74年には32%も賃金が上がった時代があったのですが、そういう時代の中で、このまま物価と賃金が「いたちごっこ」をしていると日本の経済のスタグフレーションを招きかねないとういことで、私たちの先輩は、政府において物価安定など、政府方針として公約を守るのであれば、賃上げの幅についても柔軟に対応するという柔軟な考え方、すなわち社会経済との整合性を図るという考え方のなかで、賃金交渉を進めることを英断しました。それは、政府のハイパーインフレを回避する、あるいは、経営にとっても好ましからざるインフレの状況を回避したいという強い思いの中で労働組合が、英知と英断をもって社会的責任を果たしてきた歴史があります。

 今度は逆に、これまでデフレが継続してきているなかで、政府がデフレから脱却するということ、そして労働界もデフレ脱却のために分配を求めるという主張しているなかであって、経営側が、日本の社会構造を変えていくための社会的責任を果たすべきだということを、むしろもう一段強く主張して賃金闘争を進めるべきではないかということを、私は、昨日の執行委員会で意見を申し上げました。そういう観点で2013年の春闘についてもそれぞれの立場で奮闘をお願いしたいと思います。

 最後に、大阪市立桜宮高校における問題について、まずは学校内で起こったことはしっかりと事実解明をしていただいて、これから学内の秩序をどう保つのかということをはっきりとすべきだと思いますが、橋下市長が言うように入試を一挙に止めてしまうかどうかは、異論と意見のあるところだと思います。私は大阪市長が、市民のためにその責任を果たすという首長の責任と、もう一方で政党の共同代表という立場があり、党の共同代表の立場を意識しすぎての行動や発言がなされているのであってはならないと思います。この際、兼職・兼務は回避されるべきではないかと改めて思います。昨日の大阪市会の臨時会のなかで、自民・民主・共産が提出した兼務解除の議案は否決されたようですが、十分な論議がなされたのか残念であります。引き続き私たちは、社会のチェッカーとしての役割を果たしていこうではないかということを申し上げて、挨拶に代えます。