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マスコミの「物事を正義と悪の構造に単純化」させる報道に警鐘を

2012年9月9日(於:第11回三役会)

連合大阪 会長 川口 清一

 ご案内のとおり第180通常国会が閉幕しました、この国会のなかで政府が新に提出した83件の法案のうち、55件の成立をみました。

 8月末には、野田首相に対する問責決議案が可決されるなど、政争に明け暮れた印象の強い国会であったのではと感じております。そうした中にあっても、連合が求める労働法制を中心とする法案が成立・前進が図れたということは一定の評価ができます。

 しかし、私たちの生活に直結する特例公債法案や一票の格差是正のための法案、その他の重要法案が多く積み残されたことは、まさに「決められない政治」を象徴するものであって、与野党ともに大いに反省すべきではないかと申し上げざるを得ません。とくに自民党は、3党合意によって社会保障と税の一体改革に賛成をしておきながら、消費税増税の反対を主旨とする、その他野党会派による問責決議案に賛同したことで、会期末の混乱に拍車をかけた責任は、極めて重いものがあると感じております。

 国会が閉会して以降、民主党、自民党の代表選挙に政局は流れているわけで、加えて大阪維新の会が、日本維新の会として発足するということで、今日の午後にも討論会と称する公開の面接テストがなされようとしています。そのように政治・政局は騒がしい状況にありますが、今の日本の政治は、まさにポピュリズムが蔓延しているのではないかといわざるを得ない状況であります。

 政策選択において、希望的観測や情緒的な議論に流されていないかということを、各政党は反省しなければならないと思っております。また、メディアの「物事を正義と悪の構造に単純化」させて、閉塞感を打ち破るだけのリーダーや、改革を行えるだけのリーダーを必要とする報道を連日のように行い、大衆を煽って民意を創出していくというマスコミ報道のありかたにも警鐘を鳴らさなければならないといわざるを得ません。このように作り出された民意におもねる政治は、健全な日本の社会や国家を崩壊させてしまう危険性を孕んでいることを、三役会の皆さんと確認しながら、組織の組合員の皆さんに対しても、そうした危機感を伝えていかなければならないと思っております。

 大阪維新の会の首相公選制や参議院の廃止など、民意の暴走を招きかねない政策を推し進めようとしている勢力に秋波を送ることや、おもねることをしてはならないと思います。今の政治に必要なものは、ビジョンだけを語る政治であってはならないし、閉塞感を打ち破るだけのリーダーではなく、国の歴史と未来にしっかりと責任を持つことのできる政治家・リーダーでなければならないと思っています。これからの衆議院選挙、来年の参議院選挙に対しても、働く者の立場から、どの候補者が推薦に値するかということを見極めていかなければならないと思っています。

 民主党大阪府連のなかでは、維新の会に合流しようとする議員は今日時点ではおられませんが、民主党から合流を予定している2人、3人の議員に対して、大阪維新の会の伸張を許さない立場で運動を進めてきた立場から、民主党大阪府連と民主党本部に対して、合流する議員については、まずは辞職していただくこと、簡単に離党を認めることのないよう抗議・申し入れしていきたいと思っています。申し入れの文面についてはお任せをいただき、こうした行動についてご理解をいただきたいと思います。