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知事は、広域行政の責任を果たしていないのでは

2012年8月3日(於:第10回三役会)

連合大阪 会長 川口 清一

 8月1日に地域・地区代表者会議を開催しました。この場でも申し上げましたが、地域・地区の皆さんにご協力いただいて、推薦首長との意見交換・懇談を7月25日までに一巡させていただきました。この意見交換の内容については、総論として大阪府に対する政策要請に反映していきたいと思っています。

 とくに代表的な意見を紹介しますと、「大阪府は大阪市との府市統合本部だけを意識されおり、大阪市をどうするかという議論だけで、大阪府としての広域行政の責任を果たしていないのではないか」ということです。大阪府から各基礎自治体に対する基本的な政策についての意思疎通がないことや、市町村の首長会議にも知事が出席していないことが述べられました。私は、「知事がその責任を果たしていないこと」をなぜマスコミが府民に問題提起をしないのかということに怒りを覚えました。

 そんなおりに、8月9日に初めて松井知事が首長会議に出席されるようです。しかし、現在の大阪府政は、府と基礎自治体における広域行政のあり方や、府と市町村の役割についての議論が希薄になっており、府市統合本部で決まった内容を市町村にメールするだけで、府域全体の活性化に繋がるような府行政になっていません。このことは、大阪府に対する政策要請のおりに、申し入れたいと思っております。

 政治の関係では、大阪都構想にかかる大都市特別区の設置法案が、7月31日に衆議院で7会派の共同提案で国会審議がスタートし、8月中には法案が成立するのではないかとされています。報道では、同法案は総論として二重行政を解消するための必要な手続き法案であり、地方分権の第一歩であると評されています。しかし、二重行政を解消するのであれば、現行法制度のなかで解消できることがたくさんあります。

 また、内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査委員会のなかでしっかり審議していこうというなかにも関わらず、法案だけが先行しており、国としてのガバナンスがどうなっているのかといわざるを得ません。常々申し上げておりますように、政局や選挙ばかり意識すると、いずれ公益を損なうことになることを認識いただいて、政府・与党としての責任を果たしていただきたいと思っております。

 新聞報道によると「この法案を通しておけば、次の選挙の争点をはぐらかせる」という側面はゼロではありません。しかし、地方が理不尽な意を唱えたら、政府がその方向に動くということを国民の前にさらけ出すことは、合理的でなくても批判すれば動くようなことに繋がり、これからの日本の行政全体を考えたとき、国政を混乱させかねません。このことについては、民主党大阪府連にもあらためて意見を申し上げておきたいと思います。

 副会長の皆様には、こうした観点・視点で、日常的に各級議員と連携していただいて地方行政の足らない分、隘路になっている課題を引き出していただき、労働組合が社会的なチェッカーとして役割を果たせるような活動も必要ではないかと思っております。