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人が大切にされる社会、
常に幸せが感じられる社会を

2011年10月28日(於:第15回定期大会)
連合大阪 会長 川口 清一

 第15回定期大会に出席いただきました皆さん、大変ご苦労さまです。また、ご多用にも関わらずご臨席いただきましたご来賓の皆様に心より御礼を申し上げます。

 さて、3月11日に発生した東日本大震災で多くの尊い命が奪われました。そして、福島第1原発事故の影響もあって、今なお多くの方が避難生活を余儀なくされておられます。また今年は、風水害による被害も各地で発生をいたしました。被害にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を願ってやみませんし、私たちができる支援として過日も大阪労福協をはじめとした多くの皆さんとともに、東北支援のために大阪から元気を届けようというイベント開催などにも参画をいたしましたが、被災者の皆さんが一日も早く普通の生活を取りもどしていただけますよう引き続き支えていくことが、私たちの課題でもあります。それぞれの立場でのご協力をお願いしたいと思います。

 何点かの課題について所見を述べてごあいさつといたします。

 第1点目は、連合結成20周年の年に念願であった政権交代を果たし、「国民の生活が第一」を基本に「政治主導の確立・官僚政治からの脱却、無駄の削減」を掲げた政権誕生によって、これで本当に政治が変わると大いに期待したものでした。しかし、鳩山・菅両政権は重要政策に対する認識の甘さや指導力などの課題が指摘され、また、思慮を欠いた発言などにより国政の停滞や混乱を招き、機能しない政治が続き民主党政権への信頼は大きく低下いたしました。そうした状況下、施行された第47回統一地方選挙の大阪における結果は、極めて厳しいものであり、大阪府議会、大阪・堺両市議会で大幅に議席を減らすこととなりました。この間、推薦候補者全員の勝利に向けて奮闘いただいた皆さん方に、心から御礼を申し上げます。

 私は、かねてから統一地方選挙の勝敗を分けるのは、既成政党が信頼にたる存在であるか否かであると申し上げてまいりました。しかし、政権交代に寄せられた大きな期待に充分に応えられていない民主党政権が、政権交代から2年で3人目の代表を選出することは異常事態であり、野田政権には、危機感を持って、政権再生への道を切り拓くべく一致結束した責任ある行動を望みたい、その際、政党としての基本となる政策理念は当然、あるべき社会像、国家像など行動理念なども共有できる政党として前進されるよう期待したいと思います。

 一方、この大阪の地においては、地域政党である大阪維新の会が統一地方選挙で躍進したことから、数を背景とした強権的政治手法による行政が進められております。民意だからといって勝ったものの側だけの立場で規制の秩序や価値を否定し文化や制度を破壊しようとする独善的な政治は、民主主義にとって極めて危険であり、憂慮すべき事態にあると言えます。

 また、大阪市長選挙に立候補するため、任期途中で辞任する無責任な行動も厳しく問われなければなりません。今、この大阪で優先されるべきは、為にする行政制度論ではなく、地域の活性化をいかにして図るのかであります。

 地方行政の不安定さが企業・産業の空洞化を誘発することになってはなりません。雇用の空洞化につながる企業・産業の空洞化を回避するためにも地方行政の安定が保たれなければなりません。そうした将来の不安につながるような大阪であってはなりません。私たちは、行財政改革を着実に前進させつつ安心・安定の地方行政の実現を図っていくことが最も重要ではないかと考えます。

 11月の府知事・大阪市長選挙は、まさに大阪の民主主義を守る闘いであります。「大阪には独裁者はいらない。」との決意を込めてともに闘っていこうではありませんか。

 このことをまず訴えたいと思います。

 次に雇用、労働問題についてであります。

 今、世界で何が起きているのでしょうか、「ウォール街」で始まった抗議デモは、市場原理優先の新自由主義的政策が格差や貧困の拡大など社会の不条理をもたらしました。新自由主義的経済政策は、リーマンショックというかたちで破綻したにもかかわらず、一向に改善されない現状に対して格差是正や失業率の改善を求める行動が全米に広がりを見せています。

 わが国の現状でも同様であります。実感なき景気回復期を経て、今日、働き方や所得の二極化による格差拡大、貧困層の増加をもたらし、デフレ経済から未だに脱却できずにいるのが現状であります。

 私たちは、今こそ働くことを軸とする安心社会、人間が尊重される政策へパラダイムシフト・転換を図っていく取り組みを強化せねばなりません。

 野田総理も主張されているように、かつて日本経済の力であった分厚い中間層の再構築が必要であります。

 そのためには、大阪の働くことを巡る環境を改善していかねばなりません。生産年齢人口の減少は日本一の大阪、域内需要の低迷の大きな要因になっていることや、失業率の高さ、女性の就労、社会参加が全国に比して低いこと、さらには非正規労働者率が全国に比して高い状況など、改善すべき課題は多くあります。

 地域経済を活性化させるには、

  1. 地域雇用の数を増やすこと。
  2. 女性や高齢者の雇用を含めて、働く人の数を増やすこと。
  3. 働く人の総所得を増加させていくこと、とくに若い世代や非正規で働く人たちの所得を拡大していくこと。

 以上の3点を、持続可能な社会を再構築するために、改善を求めていかなければなりません。また、若年者雇用の問題も重要であります。労使共通の課題として大阪雇用対策会議等に反映していきたいと思います。

 また、私たちは全雇用労働者の三分の一を占めるに至った非正規労働者の処遇改善や、組織化など課題解消への取り組みを強化するべく非正規労働センターを設置して今日まで活動を展開してまいりました。年間1,500件を上回る相談・支援活動の中から団体対策や組織化にむけた取り組みを行っていますが、労多くしてなかなか成果には結びつかないというのが実態であります。しかし、連合大阪全体としては構成組織の努力もあって13,400人強の組織拡大の実をあげておりますが、集団的労使関係を非正規労働者にまで広げていく取り組みを引き続き強化していかなければなりません。これらの運動を通じて「働くことを軸とする安心社会」実現を図っていきたいと思います。

 次に地域での顔の見える運動の展開については、本年度から5地域協議会に専従役員を配置することにいたしました。このことによって、地域の活動がより活性化することを期待したいと思います。とくに本年は、構成組織や高齢退職者会の皆さんのご理解をいただいて、地域・地区単位でのOB会組織の発足に向けて運動を展開したいと思います。豊富な経験や能力を発揮できる拠点をつくることによって、安心・安全の社会づくりの担い手や、新しい公共の担い手として社会に貢献する運動につなげていきたいと考えています。克服すべき課題は多いと思いますが、運動へのロマンを持って、前進を図りたいので、是非ご理解をいただきたいと思います。

 最後になりますが、これまで幾度となく申し上げてきましたが、人間の究極の幸せは、「愛されること」、「必要とされること」、「役に立つこと」、「褒められること」です。人が大切にされる社会、働くことが大切にされる社会、そして常に幸せが感じられる社会を創るため、職場から、地域から行動を起こそうではありませんか。