2008年3月25日更新
今回の「今が旬」は“旬”という本来の意味ではないかもしれませんが、食品に関する事件・事故を通して得られた教訓について浅野議長(フード連合大阪地区協議会)にお話を伺いました。
食品に関する事件と事故について
最近、世間を騒がせている「農薬混入事件」と「食品偽装事件」は、問題が異なっており同様には語れませんが、いずれにしても、食品産業産別として生活者の安全と安心に対して不信感を招き、信用を失ってしまったことについて、誠に遺憾に思っています。
職場の背景にある問題とは
「食品偽装事件」には、いくつかの要因が潜んでいると考えています。企業は、激しい企業間競争の中で、コスト削減などの目先の利益優先の事業運営に走ってしまい、「安心で安全なよい商品を提供したい」という本来食品企業が持つべきモラルが低下したのではないでしょうか。
内部告発により問題が発覚するケースが多くありましたが、現場で「おかしい」と言えないままどうしようもなくなって保健所などに申し出たのでしょうね。生活者の皆さんを守る手段として、また、公益通報者保護の観点からこの行為は正しいと思います。だだ、本来はそのような偽装が行なわれる前に「これっておかしいんと違うの?」と言える職場であることが正常で、そうならなかった企業風土に問題があったのではないでしょうか。
さらに雇用の多様化によって、安全に対する意識に従業員間でギャップが生まれてしまったことも考えられます。また、非正規社員が「おかしい」と感じたことを社内で吸い上げるシステムが整備されておらず、チェック機能の働き難い状況が拡大しているようにも感じます。食品偽装にはこのような要因が絡み合っていると思います。
「農薬混入事件」については、原因が確定しておらず何とも言えません。ただ言えることは、食品加工産業は、安価な食材と人件費を求めてアジアを中心に海外進出しているのですが、国内外で食に対する意識やモラルに違いがあり、外国では当たり前でも日本では認められないことがありますww。そのギャップを埋めていくにはチェック体制を整えなければならず、結果的に「安全・安心」を確保するためのコストが掛かってしまうことを、企業のみならず社会全体で認め合う必要があると思います。
「労働組合のチェック機能」について
フード連合は過去から「食の安全・安心」を最重要課題に掲げていますが、加盟組織から食品偽装が出たのは残念でなりません。雇用が多様化する中で、すべての従業員が「食の安全・安心の意識」を高めてもらうように訴えなければならず、そのためにも「パート・派遣従業員の組織化」に全力で取り組まなければ産別としての責任は果たせませんし、「チェック機能」の役割も発揮しなければならないと思っています。昨年、フード連合は各組織にチェック項目(下記参照)のついたクリアファイルを作成・配布し、各職場での啓発活動に活用しています。
他の構成組織のみなさんにメッセージを
私たち食品産業で働く者が安心して働き、生活していくためには、私たちの作る商品が信頼され、健全な産業として発展していくことが不可欠だと考えおり、そのためには労働組合としての「チェック体制の強化」をさらに進めていくことが重要だと考えています。(久保真光)
■チェック項目
下記の「行動チェック」で、今一度、自分の行動について自問自答しましょう!
今、あなたが行おうとしていることは、
□職場の基準に反していませんか?
□法律に触れていませんか?
□社会の良識から外れていませんか?
□家族に見られても恥しくないですか?
□あなた自身で本当に正しいと思いますか?
あなたが「おかしい」と感じたとき、
□会社(上司)に言っていますか?
□会社(上司)に言える環境にありますか?
●フード連合大阪地区協議
●〒598−8540 大阪府泉佐野市住吉町1 不二製油労組内
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●組合員数:10,811人
●議長 浅野慶樹、事務局長 大野雅則