2008年3月1日更新
健全なる企業、健全なる労使関係に宿る
UIゼンセン同盟は、パート社員の組織化を積極的に進めている。そこで、組織化について、山口次長が組織内の流通関連業種の労使セミナーで講演された内容を再構成した。
企業労使による社会的責任の推進
過半数代表性を有していない労働組合は、その企業内労働者の代表たる組織とはいえなくなる。変形労働時間制、36協定などの締結や、就業規則や労働協約の変更を通じた労働条件の変更の際に、パートタイム労働者の利益が考慮されているかが問われる。また、パートタイム労働者抜きの組合活動に対する不公平感が職場に発生し、正社員組合もそれを放置できなくなる。
既存の労働組合が、労働組合でありながら、正社員のみの部分的組織であり続ければ、その存在意義の希簿化につながってしまう。そして正社員組合員でも、同じ職場にさまざまな雇用形態が存在することについての自己矛盾が、より顕在化しないうちに喫緊の課題として認識する必要がある。
企業労使に求められる新しい労使関係
非典型従業員の多い企業では、正社員のほかに多くのパートタイム労働者など短時間労働者が基幹的な役割を果たしている。
既存の企業別労働組合が、この基幹化し増加したパートタイム労働者など多様化する雇用形態に対応するということは、具体的には、まず (1)組合員の範囲を見直し構成員として迎えることである。そして組合内部で (2)正社員と新たな組合員の間や、新たな組合員同士のさまざまな課題に対しての協議を可能とし、(3)正社員のみの意見を代表する労働組合から、パートタイム労働者を含めた全労働者の意見を代表する「公正代表性」を確保するということである。そして(4)パートタイム労働者を組合員として迎え、ユニオンショップ制を同時に締結することで、企業内労使の唯一の交渉団体として、企業内一体性を担保し、向上させることである。
労使に求められる法令順守の推進
労働組合が、組合員と同じ職場に働く仲間を組合員資格から除外し、未組織のまま放置することは、企業や、企業に働くすべての労働者利益よりも組織労働者のみの利益を優先する利己的集団と言われかねない。企業内外を問わず、労働者全体としてこうした労使関係上好ましくない現在の状況を放置することは、労使関係の信義則上、労使責任を放棄していることを意味してしまう。
結論
労使が一致協力して取り組む新たな労使関係の構築を目指して、非正規雇用を含む過半数労働者の組織化は、企業側にも十分メリットがあると認識するとともに、従業員(労働組合側)のメリットともほぼ一致しており、社会的に労使による全方位の法令順守を推進する上でも大きな前進が期待できる。
連合は、「非正規労働センター」を立ち上げて組織化を進めている。また、2月には特別相談も実施する。非正規雇用の組織化については、構成組織ごとに事情は異なるが、ぜひ参考にしていただきたい内容である。(山本 修)
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