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「賃金は付加価値を生み出す原動力」全員参加の春闘を展開しよう

2023年2月17日 (第16回執行委員会)
連合大阪 会長 田中 宏和

はじめに

 今月6日、トルコ南東部のシリアとの国境付近で大地震が発生し、トルコ、シリアの両国では4万人以上の方々の死亡が確認され、その数は今も増え続けています。お亡くなりになられた方々に衷心(ちゅうしん)より哀悼の意を表します。現地では住宅や公共インフラ、道路や通信網にも甚大な被害が出ており、捜索(そうさく)や救助活動は困難を極めています。連合でも、昨日の中執の中で、愛のカンパからの支援が提案されております。連合大阪でも、今後、近畿ブロックや本部とも連携をし、支援に向けた取組みを検討してまいります。

社会・経済情勢

 さて、新型コロナをめぐりましては、政府が、感染症法上の5類への変更や、マスク着用の考え方の見直しを決定するなど、感染防止と社会経済活動の両立に向けた動きが具体化してきています。経済情勢についても、内閣府が今月14日に発表した2022年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.2%増、年率換算で0.6%増と、2四半期ぶりのプラス成長となっています。また、22年の実質GDPは前年比1.1%増で、2年連続のプラスとなり、コロナ禍から経済の正常化が緩やかに進んでいると見られています。

 ただ、雇用者報酬は名目で前年同期比2.9%増えたものの、実質は1.4%減となり、5四半期連続のマイナスとなり、物価上昇に賃金が追いついていない実態が改めて明らかになりました。加えて、世界の不安定化要因であるウクライナ情勢が1年を迎える中で、対立は激化しており、泥沼化するとの見方があることや、内外の感染症の動向なども含め、日本経済を巡る不確実性は、きわめて高いと見られています。引き続き、働く者に及ぼす影響など、注視していく必要があります。

2023春季生活闘争

 こうした中での2023春闘ですが、賃上げに対する社会的注目度が高まる中、私たちも、今週14日には関経連との大阪労使会議を開催し、「物価上昇に負けない賃金引き上げが重要」との認識をあらためて共有しました。今後も、来月の山場に向けて、28日の大阪労働局への要請や、総決起集会、さらには、各団体への要請行動はじめ、取り組みを強めてまいりたいと考えています。何といっても、記録的な物価上昇が続く中で、中小企業を含めて賃上げの動きや、賃上げ率がどこまで伸びるのかが焦点となります。
賃金はコストではなく、付加価値を生み出す原動力。GDPも、賃金も、物価も安定的に上昇する経済へとステージを転換するターニングポイントにするためにも、全員参加の春闘を展開してまいりましょう。

政治

 次に政治ですが、先月23日には通常国会が召集されました。岸田総理の施政方針演説では、昨年に続き、新しい資本主義が掲げられましたが、新自由主義への弊害については言及されず、経済安全保障がことさらに強調されました。また、岸田総理が掲げる次元の異なる少子化対策をめぐりましては、n分n乗方式の導入是非など、与野党論戦が深まりつつあります。何れにしろ「国民が命と暮らしに大きな不安を感じている」現状だからこそ、与野党とともに誠実で実りある議論を展開し、政治本来の役割を果たしていただくことを強く望みたいと思います。

おわりに

 そして、「大阪の未来」を左右する極めて重要な政治決戦である、統一地方選・大阪ダブル選まで、あと1ヶ月あまりとなりました。この政治決戦に向け、新たな政治団体「アップデートおおさか」が結成され、大阪府知事選には谷口真由美さん、大阪市長選には、北野妙子さんが、立候補を表明されました。ご存知のとおり、来年2024年のうめきた2期工事、翌年25年には大阪・関西万博が開催されるなど、内外からの注目が高まる中、持続可能で魅力ある地域づくりが大きな課題となります。排除と分断を持ち込むような動きを許さず、いまこそ、働く者・生活者の立場にたった政治勢力の再生を実現しなければなりません。私たち連合大阪も、将来への希望ある大阪に向け、組織一丸となった取り組みを進めてまいりたいと思います。