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TPP交渉による労働市場の見直しに準備を

2013年3月22日(於:第17回執行委員会)

連合大阪 会長 川口 清一

 私どもと一緒に運動してまいりました、連合大阪副会長でJR連合大阪の議長であります杉原さんが、3月5日にご逝去されました。改めて謹んでお悔やみを申し上げます。

 さて、まずひとつは、2013年春季生活闘争についてであります。ご案内のとおり第1次グループが妥結を見る中で、第2次、第3次グループへと交渉の舞台は移っています。その中で円安・株高を受けて、なんとなく明るい期待感が漂う中での交渉となっておりますが、結果は厳しい環境で、8カ月連続して貿易収支が赤字を計上するという日本の経済の実情を見ると、そんなに期待感だけに浮かれる状況ではありません。しかし、第1次グループが示していただいた指標をもとに、これから引き続く各組織におかれましては、交渉の成果が得られるように一層の努力を求めておきます。これまでのところ、マスコミでは安倍総理の要請にこたえる形で、賃上げや賞与の満額回答がなされたと繰り返し報道されています。私は、労使交渉が政府の干渉で左右されることであってはならないと思いますし、経営側の姿勢として政府に向いて応えるというのではなく、労働組合の要求や要請に真摯な態度で応えるべきであることを強く申し上げておきたい。

 2点目は、3月15日に正式表明されました、TPPの交渉参加についてであります。今のところ、保護すべき交渉品目が最大の関心事になっていますが、規制改革が私たちの生活にどう影響を及ぼすかについて、十分な関心を払っていかなければならないと思っています。今、国内では産業競争力会議や規制改革会議で議論が始まっています。解雇ルールの見直しなど労働市場の見直しについて、最大の関心を払っていくべきではと思います。

 かつて、1990年の日米構造協議による規制改革以降、非正規労働者が大幅に拡大し、所得の2極化が、日本経済を支えてきた中間層が崩壊してきたという苦い経験をもつ私たちである訳ですが、だからと言ってこれら始まる議論は、悲観論に終始するのではなく、あるいは、対立を際立たせることではなく、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて一歩踏み出す必要があるなら、そのために具備すべき必要条件はなにかということをしっかりと見通した対応をしていかなければなりません。そうした意味で、労働組合としても備える内部議論を早急に進めていかなければならないと思います。全体としては、今後の政府の議論に最大の関心を払っていく必要があると、改めて問題提起をしておきます。

 3点目ですが、参議院選挙について2月14日の民主党大会で、再生・再建へのスタートを切りましたが、なかなか民主党の存在感を示せる状況には立ち至っておりません。総選挙の大敗以降、大変厳しい状況は、今日に至ってもなお変わりはないわけですが、私たちとしては、生活者に視点をあてた政策・理念を共有できる政党は、民主党以外にない、そしてその政党が、参議院選挙で消滅してしまっていいのかという闘いになるということを再度確認しながら、労働組合ができること、すなわち、ひとり一人の組合員との対話を重ねて、石垣を積み上げていく運動に取り組んでいかなければ、参議院選挙の活路は開けないと思っています。その意味で、連合の組織力がまさに問われる闘いになる訳ですから、それぞれの構成組織・産別において、組合員ひとり一人あるいは家族を含めた理解活動に、7月21日に予定されている選挙戦本番まで仕上げていくことを確認する提案を、後ほどさせていただきますので、そのことを申し上げて挨拶とします。