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“人”が大切にされる2012年春季生活闘争に

2012年1月20日(於:第3回執行委員会)
連合大阪 会長 川口 清一

 いよいよ来週から第180通常国会が開催されます。この中では労働関係を含む重要法案もさることながら、政府・与党として「社会保障と税の一体改革素案」がまとめられ、本格的に国会での審議に移ります。この問題の扱われ方は、総じてマスコミ論調として消費税増税問題ありきとなっています。

 昨日の中央執行委員会の議論でもありましたが、まず社会保障をどう改革するのかがあって、その改革のためにどの程度の規模の財源が必要なのか、その財源を調達するためにどのような手段が必要なのかという道筋をしっかりと説明することが必要です。税金が増えるということだけでなく、むしろこれからの社会保障のあり方を基本において説明がなされ、その上でどういう財源を確保していくのかという議論が、国民各層においても議論がなされていくことが極めて重要ではないかと思います。

 政府においても、これからの国会の議論を通じて、あるいは政府広報を通じて、分りやすい資料を提起しながら、説明責任を果たしていくことが必要だと思っています。とりわけ日本の財政状況は厳しい状況にあり、新年度予算では44兆円の国債の発行が見込まれ、年金財源や復興財源を加えれば、実質的にこれをさらに上回る赤字国債の発行額になります。この財政状況では、国債の市場からの信任を得るためにも財政状況を改善することは重要な課題です。いろんな経済見通しがありますが、やがて日本の国債にまつわる長期金利は上昇懸念が囁かれている状況にあって、どのように財政健全化を図っていくのかが重要なテーマとなっています。その意味では、消費税による財源確保も重要な方策ではないかと思っています。

 2つ目に、2012年春闘がいよいよこれから2月に入り本格時期を迎えます。まさに超円高の状況、ヨーロッパを中心とする金融不安など世界経済の先行き不安など、不透明感が強いですし、容易ならざる環境のもと、交渉に入っていかなければなりません。また、電力の供給不安もあり、産業の空洞化あるいは、雇用不安も懸念されているなかでの春闘になっていきます。

 私たちは、生活の安心なくして成長なしという心構えで春闘を闘う必要があるのではないでしょうか。とりわけ私たちの生活の環境は、この10年間家計収入や消費支出も減るばかり、そして全ての労働者の4人に1人が200万円以下の収入で生活している人達であり、その中で雇用の質が劣化している今の現実を直視して、持続的な社会を創っていくために、春季生活闘争の要求の主旨を踏まえて闘争を進めていかなければならないと思います。個人消費や企業活動の縮小・停滞が景気を後退させる。その景気の後退が経済を縮小させて財政悪化につながっていくという循環を改善するためにも重要な春闘であります。

 日本が人口減少社会といえ、国内需要を増加させることが喫緊の課題であることは言うまでもありません。消費が拡大すれば国内市場も活力を生み出すことから、縮み志向から脱却するための闘いにしなければなりません。その中で経済や社会を動かすのは“人”であり、“人”が大切にされる、企業の業績向上に貢献する従業員の期待に報いるための春闘を進めていただきたい。「希望は努力が報われるとき生じ、努力が無駄になると思えば絶望が生じる」という言葉を教えていただいた記憶があるが、まさに、今年が希望の持てる年にするように、2012春闘の成果ある闘いにすることを、皆さんと改めて確認し、これからの運動を進めてまいります。