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緊急事態宣言下の厳しい経済情勢

2021年2月19日〜24日 (第16回執行委員会〈持ち回り開催〉)
連合大阪 会長 田中 宏和

 執行委員会に参画されている皆様、それぞれの取り組み、本当にお疲れ様です。今回の執行委員会につきましても、緊急事態宣言延長による感染拡大防止の観点から、先月に引き続き持ち回り開催とさせていただきました。

取り巻く状況(社会・経済・政治)

 さて、新型コロナウイルス感染症をめぐりましては、1月に発令された緊急事態宣言が延長される中、新規感染者数は減少しつつありますが、医療のひっ迫状況は依然として厳しく、予断を許さない状況に変わりはありません。このような中、大阪府は経済的な負担の高まりも背景に、宣言の解除要請も含めて検討しているとも報じられていますが、命と暮らしを守ることを前提に、専門家の知見を十分に踏まえた判断が求められています。

 一方、回復基調にありました経済情勢ですが、コロナ第三波を受けて、消費は急速に冷え込んでおり、再び悪化しつつあります。2020年10-12月期のGDPは、年率換算で12.7%の成長で、二期連続のプラス成長となりましたが、緊急事態宣言の延長を受けて、飲食や宿泊を中心に消費の悪化が指摘されており、1-3月期の成長率は、悲観的な見方が示されています。

 経済情勢の悪化は、雇用にも影響を及ぼしており、1月29日に公表された2020年の雇用統計では、有効求人倍率が45年ぶりに大幅下落、完全失業率も11年ぶりに上昇しました。中でも、非正規雇用労働者、特に女性に対する影響が深刻であり、民間調査(野村総研)によると、約90万人のパート・アルバイト女性の勤務シフトがコロナ前の半分以下に減り、休業手当も支払われない「実質的失業者」になっています。統計や数字に表れない困窮が明らかであり、因果関係の裏付けこそないものの、自殺する女性が急増していることとの関係も懸念されています。緊急事態宣言の延長もあり、雇用は今後、長期にわたる悪化、また、年度末には、多くの非正規労働者が雇い止めにあうおそれも強まっています。

 こうした状況下、国会では、特措法改正案が可決・成立し、今月13日に施行されました。政府においては、命令や罰則を発動することなく感染防止対策に努めるなど、国民や事業者に対する支援の強化に全力を挙げることが求められます。同時にワクチンの接種が、今月17日から医療従事者を中心に開始されました。ワクチンがゲームチェンジャーとなり、ウイルスに押し込まれている状況を一変させるのではないかという期待感もありますが、乗り越えるべき課題も多く、政府の的確な政策遂行を担保するためにも、信頼される政治への転換が求められているといえます。

春闘

 経済情勢の急速な悪化は、産業により、また同じ産業の中でも企業によって、状況の違いの幅を拡大しており、2021春季生活闘争にも少なくない影響を及ぼしています。一方で、こうした厳しい状況であるからこそ、賃上げを起点としたデフレ脱却に向けた歩みを止めず、GDPの6割を占める個人消費の拡大を実現しなければなりません。そのためにも、「雇用の確保」を前提に、今日まで労使にて作り上げてきた「賃上げの流れ」を継続する中で、企業規模間、雇用形態間、などの格差を是正し、すべての働く者の処遇を「働きの価値に見合った水準」に引き上げることが不可欠であります。

 連合大阪でも、2月19日には大阪労使会議において関西経済連合会に、同22日には、大阪労働局への要請行動を含めた社会対話に取り組んでいきます。私たちがこれまでに経験したことのない厳しい闘いが予想されますが、みなさまと連帯を一段と強め、取り組みを進めてまいりたいと思います。

最後に

 コロナ禍の中、本当に多くの課題が山積しています。その中で、働く者・生活者の代表として、私たちは、その社会的役割を果たしていくと言う思いを強く持ち、取り組んでまいりますので、引き続きのご理解・ご支援をお願い申し上げ、挨拶にかえさせていただきます。

 ともに、がんばりましょう。